光りの梯子

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 通院のため、このところ1週間に1度くらい長距離バスで札幌と往復しています。道北の秋は進みゆき、紅葉の最後を飾るカラマツも葉を落とし、ついに雪景色の車窓となりました。

 この日は稚内を出て羽幌あたりまで暗い雪雲に覆われ、ところどころ吹雪いていました。小平(おびら)に差し掛かると、海の上の雲が割れて、光の梯子が何本も現れては消えます。鉛色だった波が銀色に光り、ドラマのある風景に変わりました。こんな光を「天使の梯子」と呼ぶそうです。

 肺がんと診断されてから、6度めの入院のため、札幌に向いました。まわりの人々はいろんな神様のお守りを届けてくれます。私も近くの龍神様には毎日、そして月を見ても朝日を見ても、亡くなった父母の写真にも、病が癒えることをお願いしてきました。手当たり次第に祈れるものにはみな祈るという我がままさのせいか、いくらお願いしても、予想される通りに病は進行し、奇跡はおきません。私は神様たちに向かって、少しすねていました。

 でも、そんな日々にも小さなプレゼントは隠れていました。天使の梯子もその一つ。そして使える確率が50パーセントと言われた薬に、胸水の検査で陽性反応が出て、服薬できることになり、今回はそのための入院です。医師からの電話で陽性を告げられると、私は嬉しくて少しハイになりました。

 それから、最近夫が前よりちょっぴり優しくなった気がします。キャンサーギフトと呼ばれるものの輪郭が少し見えてきた気がします。

写真は125日 都市間バスの車窓から


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# by somamin | 2018-12-08 17:09 | 短歌 写真 | Comments(0)

冬の顔

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 すっかり秋が深まって、晩秋となりました。昨日から冷え込んできました。お隣の島の利尻山は、頂に冠雪していると思うのですが、雲をまとっていて、こちらからは見えません。

 作品を二つアップしました。一つ目の写真の草紅葉はヒロハウラジロヨモギ。ビロード状の毛に覆われた小さなヨモギで、とても優しい色に紅葉します。

 二つ目の写真はオオセグロカモメ。今朝、暖吉(我が家の柴犬)の散歩に行った時、防波堤の鴎たちの顔が茶色の混じった冬羽に変わっていることに気がつきました。暖吉も毛変わりを始めています。動物たちは冬支度に余念がないようですが、私はまだ秋に未練があります。


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# by somamin | 2018-10-18 23:34 | 短歌 写真 | Comments(0)

干した布団の香ばしく

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 今年の9月は良い天気が続きました。島に住んでから、布団乾燥機に頼ることが多かった私ですが、今年5月に引っ越した家は布団干しがしやすい家なので、それが私の楽しみの一つになりました。

 関東平野に住む姑も、亡くなった母も、私たちが帰る時はいつも布団を干して待っていてくれました。日に干した布団のお日様の匂い、その香りに顔を埋めると幸福な思いに満たされます。冬に帰省することが多いので、毎日布団が干せる関東の冬が、羨ましく、そして眩しくもありました。日本海に浮かぶ礼文島の冬は、晴れる日がほとんどなく、来る日も来る日も雪雲に覆われ、布団干しなど望むべくもありません。でも秋に干せば良いのだと、26年もたって今更ながらに気がつきました。

 連休に娘が帰ってくると言います。私はせっせと布団を陽に当てて、おせんべいを焼くみたいに時々裏返し、布団叩きで叩きます。パアン、パン。その柔らかい感触と鈍い音がまたなつかしくて、愛おしいです。

 写真はエゾゴマナ、礼文林道で9月21日に撮影しました。


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# by somamin | 2018-09-25 09:10 | 短歌 写真 | Comments(0)

コクワ

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 コクワを知っていますか。マタタビ科の蔓性植物で、ちょうど今頃、コロコロと丸い緑の実を付けます。私はカメラを背負い長い坂道を登っていました。背丈の低いウツボグサの写真を撮ろうと地面に這いつくばっている時、笹の縁にからまったコクワの蔓と緑の実を見つけました。ご褒美みたいで嬉しくて、10個ほどもらって帰りました。まだ実はかたくて、食べても酸っぱいだけなのでもう少し熟れてから食べようと、お米に埋めておきました。コクワの実は直径15ミリくらい、小さいけれど見た目も味もキウイフルーツによく似ています。

 子供が小さいころは、この実を採りによく家族で森に出かけました。つる植物なので高い梢にもからまって、たくさん実を付けます。見えてはいても、採れないものの方が多くて、手の届く高さのものを見つけると、とても嬉しいです。ジャムにしたり、お酒に漬けたりもしました。でもじつは食べるより採る方が楽しくて、山の恵みを受け取るのは満たされた気分になります。一人登る山路でしばらく忘れていた楽しさを思い出し、身の内の野生がふつふつとするようで、元気が出ました。


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# by somamin | 2018-09-17 17:12 | 短歌 写真 | Comments(0)

祈りのかたち

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 お盆があけて、帰省の家族たちが都会に帰っていき、いつもの静けさが戻ってきました。山ではトウゲブキやツリガネニンジンがこれでもかというほど開花して、秋の花園はピークを迎えています。

 私はこの季節に必ずゴロタ岬に登ります。西の海に向かう斜面を埋めるのは、黄色いトウベブキと紫のツリガネニンジン、白いチシマワレモコウなど。岬にはいつものように風が吹いていて、何もない日本海に雲間からこぼれる光が遊んでいました。何度来ても、岬は特別なところとだと感じます。


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# by somamin | 2018-08-17 11:26 | 短歌 写真 | Comments(0)

切々と咲く

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 レブンソウは礼文島の固有種、マメ科の植物で茎や葉など全草に毛があります。よく2度咲きすると言われますが、例年ですと6月中旬がピークで、その後一時休んで8月にまた咲き始め、雪が降る頃まで数を減らしながら咲き続けます。今年は6月の開花数も多く、「当たり年だね」とみんなで話していました。6月にたくさん咲く年は8月が少なめなのが常ですが、今年の8月は6月の倍以上の開花になりそうな勢いで、蕾をたくさん持ち上げてきています。「どうしたの?そんなに咲いて大丈夫?」、なにか危機でも感じているのではと心配になってしまうのは老婆心でしょうか。私が今までに見たことが無いような数が開花しそうです。(写真は7月30日 桃岩展望台)


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# by somamin | 2018-08-01 10:30 | 短歌 写真 | Comments(0)

荒い息する

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 西日本に激しい雨が降り続いている頃、礼文島も連日天気が悪く、寒い日が続いておりました。特に7月4日5日の嵐では、東からの潮風が丘の稜線付近にまで届き、折しも盛りを迎えようとしていたエゾイブキトラノオが痛んで茶色くなりました。エゾイブキトラノオは当たり外れがなく、毎年必ず美しい大群落を見せてくれる花でしたので、こんな寂しい咲き方を初めて見ました。ヤマセ(北東の風)でしたので、西側の斜面のものは被害が少なく、中にはいつものようにふわふわとしたピンクの花穂を開花させたものもあります。そして秋の花のキタノコギリソウやウメバチソウがぽつりぽつり咲き始め、夏は来ないまま終わるのかと不安になります。気象現象が極端なこの頃です。猛暑の地域にお住いの方には心よりお見舞い申し上げます。

写真はエゾイブキトラノオ 桃岩展望台 2018.7.18




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# by somamin | 2018-07-21 09:26 | 短歌 写真 | Comments(0)

オロオロ歩く

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やっと晴れました。陽光を浴びるのは6月26日以来かもしれません。前回の短歌を推敲してみました。写真は本日、礼文林道で撮影しました。


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# by somamin | 2018-07-06 21:31 | Comments(2)

花群れ清か

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 6月下旬に利尻島に行ってきました。写真は6月26日のエゾカンゾウと利尻山です。今年の6月はダウンジャケットが手放せないような寒い日が続きました。初旬の寒さと霜でオオイタドリが一斉に茶色く枯れてしまい、何事がおこったのかと思いました。エゾカンゾウも蕾が痛んであまり咲かないだろうと思ったのですが、予想に反して今年の群落は見応えがあります。利尻島南浜湿原のヤマドリゼンマイも冷害でほとんどが茶色く枯れたのですが、2週間ほどして行ってみると茶色くなった株のまわりに、初々しい緑の葉を広げるヤマドリザンマイが多数出ているのを見つけました。少し遅れて伸びてきたものは冷害に会わずにすんだようです。なぜか寒さの厳しい年のほうが、花たちの色が鮮やかな気がします。北の植物たちは寒さには簡単に負けないいろんな作戦を隠し持っているのでしょう。陽光を透かしたエゾカンゾウの花弁の明るさがなんとも嬉しい朝でした。



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# by somamin | 2018-07-03 14:31 | 短歌 写真 | Comments(1)

島風頬に

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 今年もレブンアツモリソウが盛りになりました。開花はほぼ例年どおりでしたが、風の強い日が続き、茶色く痛んだ花も多くなりました。写真は6月6日、レブンアツモリソウ群生地周辺で撮影しました。この株は比較的風当たりの少ない斜面に立っていて、痛みもなく、ピンクのサクラソウモドキや白い小花のマイズルソウとともに、開花したての初々しい姿を見せてくれました。毎年、レブンアツモリソウにカメラを向けてきましたが、この花ほど難しい花はないかもしれません。姿が個性的で魅力が強いので、しっかり対峙しないと撮らされてしまいます。今回私は山陰から差す朝の逆光を選んで勝負してみました。共に咲くピンクの花はサクラソウモドキ、モドキと言っても立派なサクラソウの仲間です。同じような環境に開花しますが、このように並んで咲く様子が見られたのは初めてです。今年はサクラソウモドキの当たり年のようで、開花株が多いようです。島に住んで26回目の春、初めて同じ画面に納めることができました。他の花とともに咲く野生ランらしいレブンアツモリソウが写せたのではないかと思います。



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# by somamin | 2018-06-08 10:35 | 短歌 写真 | Comments(0)