レブンコザクラがそろそろ花の季節を終わろうとしています。 この花は花期の終わりが近づくと花弁の色が紫がかってきます。 咲きたての初々しさも可愛いですが、咲き終わろうとする頃のおもむきが私は好きです。 花が終わると種を熟成させる期間に入ります。 種が旅立ちの準備ができるころには、いつの間にか背丈を数センチ伸ばしています。 ちょっとでも高い所から種を遠くに飛ばそうという戦略だと思われます。 そして花期よりも葉を大きく成長させて夏を過ごし、晩秋には真ん中の越冬芽を残して地上部は枯れます。 花にとってはどのステージも大切な営みの時間です。 でもやはり開花は特別、命を繋ぐために、強い子孫を残すため、勝負のときです。 花期は短いからこそ、ハラハラドキドキ。私たち人間は受粉にはなにも関係ないのに心を引き付けられるのはなぜでしょう。 #
by somamin
| 2016-06-01 12:10
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今年もエゾノハクサンイチゲが咲きました。花の季節の始まりを宣言するように大群落を作ります。「この花群の前に立つとき、島に住んで良かったと毎年思います」ときっと私は去年も書きました。その想いは移り住んで24年たった今でも変わりません。 別名をカラフトセンカソウ、きっとサハリンでも大群落をつくるのでしょう。漢字で書けば「蝦夷白山一華」、ハクサンイチゲは本州では標高2000メートル以上の高山帯に咲く花です。一華はイチリンソウの仲間によく付けられる和名で、礼文島ではこの他にエゾイチゲ、ヒメイチゲなどがありあす。 エゾがつくこの花は本州の物に比べて花柄が短く、小葉の終裂片が鈍頭などの違いがあります。利尻山では標高が1500メートル付近で雪どけを待って6月下旬ごろから開花します。大雪山や富良野岳でも6月下旬から7月の花。礼文島のように標高が200〜300メートル、波の音が聞こえるような場所で、しかも5月に開花するのはやはり特別です。 でもそんな理屈を越えた圧倒的な愛しさをこの花群は持っています。 #
by somamin
| 2016-05-25 07:00
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5月3日、利尻島の森ではヒメイチゲがたくさん開花していました。 朝は曇っていたのですが10時ごろから陽光が差し始め、 木洩れ陽が林床を暖め始めるころ、 閉じていた花弁が少しずつほころんでいきました。 ヒメイチゲは背丈が5〜7センチ、花の径が1センチくらいの小さなキンポウゲ科の花です。 光がないと開きません。 森を渡る風が花たちを柔らかく揺らし続けています。 この日利尻山の裾野にはいったい何本のヒメイチゲが咲いていたのでしょう。 星の数にも負けないくらいたくさん、苔むした溶岩の上で微風に身をゆらす白い小さな花を見ました。 私も同じ風に吹かれながら、森の底でウグイスやコマドリの声に包まれていました。 #
by somamin
| 2016-05-07 13:07
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亡くなった母親のことを「妣」と書くそうです。 普段の生活では使うことの少ない常用外漢字です。 私がこの字に出会ったのはなんの時だったか覚えていないのですが、こんな字もあるのかとメモに書き出していました。 先日母の遺品の片付けをしていて、この字に思いがけなく出会いました。 母はA4版のちらしを裏を表にして二つに折り、綴じた手作りのノートを作っていました。 そのノートに短歌の草稿を書いたり、外来語や難しい漢字など最近の読書で気になったものを書き出したりしていました。 一番最後のノートの中にこの「妣」という字を見つけた時は不思議な気持ちがしました。 母はこの字をどんな想いで書き出したのでしょうか。 焼し餅お弁当にと校庭(にわ)に待つモンペの母を想う母の忌 きよ子 これは母の遺した短歌の中の一首です。モンペの母とは私の知らない、私の祖母です。母が十代の時に亡くなっています。 四十九日の法要は終わりましたが、私はまだ心の中に母の置き場所を定められずにいます。 #
by somamin
| 2016-03-28 11:09
先日急に暖気がやって来て雨を降らし、積雪をすごい勢いで溶かしたことがありました。 まさかと思ったのですが、いつもの斜面を探すとフキノトウの芽が顔を出していました。 きっと浅い眠りにウツラウツラとしているところを、急に布団をはがされたみたいな気分だろうと思います。 フキノトウといってもまだ芽は固く、色だけは明るい緑でした。 その後すぐにまた吹雪がきて、積雪が戻りました。 「良かったねフキノトウ、ゆっくりでいいよ」。 私もまだ少し雪の布団の下でまどろんでいたい気分なのですが、雪原に遊ぶ光には春の力がもはや宿っています。 そろそろ覚悟をきめて春に向かって行かなければ。 そう言えばウミネコも数羽見かけました。 越冬地からウミネコが島にたくさん帰ってくるころには、フキノトウも春土にニキビみたいにたくさん開花します。 そんな日まであと一ヶ月くらいかな、考えただけで心がザワザワとしてきました。 #
by somamin
| 2016-02-21 14:37
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